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カナダの精神科医、Eric Berneの言葉 “You cannot change others or the past. You can change yourself and the future.”をご紹介します。
私たちは生きていく中で、過去の出来事に後悔したり、他人の言動に対して不満を抱いたりすることがあります。しかし、それらに執着しても何の解決にもなりません。過去に失敗をしたとしても、その出来事そのものを消すことはできません。また、他人が自分をどう思うかや、どのように行動するかを完全にコントロールすることも不可能です。
この考え方は、心理学にも通じるものがあります。特に「内的コントロール」と「外的コントロール」の概念が関係しています。内的コントロールとは、「自分の行動や選択に責任を持つ姿勢」を指し、外的コントロールとは、「自分の運命は他人や環境によって決まると考える姿勢」を指します。
「他人と過去は変えられない」という言葉は、外的コントロールに依存するのではなく、内的コントロールを意識することの重要性を示していると言えます。
一方で、「自分と未来は変えられる」という部分は、自分の考え方や行動を変えることで、未来の結果を変えることができるという前向きなメッセージが込められています。なにか失敗してしまったとき、後ろ向きに考えるのではなく、「この失敗から何を学べるだろう?」と考えることで、自分自身の成長につなげることができます。同じ出来事でも、捉え方次第で未来は大きく変わります。以前にご紹介した「なぜ失敗したのか分かれば大成功」と共通する考え方です。未来は過去と異なり、まだ確定していないものです。そのため、現在の自分の行動次第で望む未来を実現できる可能性があります。
例えば、「英語が話せるようになりたい」と思っているなら、今すぐ英語の勉強を始めることで未来を変えることができます。未来の自分が「英語ができる自分」になるかどうかは、今日の行動次第なのです。
また、この考え方は、仕事や人間関係においても活かすことができます。
職場で上司と合わないと感じる場合、「上司が変わってくれればいいのに」と思うのではなく、自分の接し方や言葉遣いを工夫することで、関係が良好になる可能性があります。仕事で成功するためには、環境や会社の方針を変えようとするよりも、自分のスキルや姿勢を変える方が現実的です。新しいスキルを身につけたり、積極的に仕事に取り組んだりすることで、キャリアの可能性は広がります。
過去や他人に執着せず、自分自身の行動に焦点を当てることで、より良い未来を築くことができるということです。
21歳でイタリアに渡り、サッカー選手として成功を収めた中田英寿さんへのインタビュー記事の中で、次のようにお話なさっています。
「他人の評価をコントロールすることはできなかった。自分にできたのは、全力を尽くすことだけだった。」
私たちは過去に縛られることなく、他人を変えようと無駄な努力をするのではなく、「今この瞬間にできることは何か?」を考え、それを積み重ねることで、望む未来を創り出すことができます。
この言葉を胸に刻み、日々の行動を見直すことで、自分の人生をより良い方向へ導くことができるでしょう。