心の言葉

苦労は無い方がいい でも苦労をした人は輝いて見える

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おもちゃだけでなく、さまざまな分野の骨董品や現代アート作品のコレクターとして世界的にも有名な、北原照久さんがSNSで紹介なさっていた言葉です。

誰しもできることなら苦労せずに生きていきたいと思うものです。できるだけ楽に、スムーズに物事が進むことを望みます。
しかし、実際には、苦労を経験した人ほど魅力的に映ることが多いのではないでしょうか。それはなぜなのでしょうか。

人は苦労を通じて成長します。困難に直面したときに、どう乗り越えるかを考え、努力し、行動する。その過程で精神的に強くなり、視野が広がり、人間としての深みが増していきます。
単に成功を手にした人よりも、失敗を経験しながらも立ち上がり、努力を続けた人のほうが、人々の心を打つのはそのためです。

例えば、スポーツの世界では、順風満帆にスター選手になった人よりも、挫折を乗り越えて成功をつかんだ選手のほうが、多くの人の共感を得ることがよくあります。
あるアスリートが、幼少期から才能に恵まれ、順調にキャリアを積んできたとします。彼のプレーは美しく、結果も残しています。
もう一人、怪我をして長く競技から離れた選手がいたとします。その選手は何度もリハビリを重ね、苦しい時期を乗り越え、ついにトップレベルの舞台に戻ってきました。
この二人を比べたとき、多くの人は後者の選手により深く心を動かされるのではないでしょうか。それは、彼の歩んできた道に「努力」と「忍耐」、そして「逆境を乗り越える力」があるからです。

ビジネスの世界でも同じことが言えます。二代目社長として、何不自由なく経営を引き継いだ人と、ゼロから起業し、多くの困難を乗り越えて会社を成長させた人では、後者のほうが周囲の尊敬を集めやすいでしょう。
成功そのものよりも、そこに至るまでの過程が人々の心を動かすからです。苦労をした人は、単に成功を収めただけでなく、その過程で培われた経験や価値観、強い精神力を持っています。それが彼らを輝かせる要因となるのです。

また、苦労を経験した人は、他人の痛みを理解できるようになります。何の障害もなく成功した人は、困難に直面した人の気持ちを想像するのが難しいものです。しかし、自分自身が苦労を重ねてきた人は、同じように苦しんでいる人に共感し、適切な助言をすることができます。その優しさや包容力が、その人の魅力をさらに引き立てるのです。

とはいえ、苦労をすること自体が目的ではありません。無理に苦労を求める必要はないですし、できるなら避けたいと思うのは当然です。しかし、避けられない困難に直面したとき、それをどう乗り越えるかによって、その人の成長の度合いが決まるのではないでしょうか。
人生は楽な道ばかりではありません。誰しも予期しない苦労に直面することがあります。その経験をどう捉え、どう乗り越えるかで、人生の価値は大きく変わります。苦労を経験し、それを乗り越えた人は、ただ苦しんだだけではなく、そこから学び、何かを得ています。その経験が、その人をより魅力的にし、輝かせるのです。

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