- 公開日:
私たちは、何か目標を立てたとき、なるべく早くそこにたどり着こうとします。「最短ルートでゴールしたい」と思うのは、ごく自然な気持ちです。でも、現実はいつも思い通りにはいきません。思わぬトラブルにあったり、努力しても結果が出なかったり、自分ではどうにもならない事情にぶつかったりすることがあります。
そんなときに思い出したいのが、漫画『ハイキュー!!』に登場する田中冴子さんの言葉です。
回り道には、回り道にしか咲いてない花があんだからさ
この言葉は、「遠回りしている今この時間も、決して無駄ではない」というメッセージを私たちに届けてくれます。
たとえば、受験に失敗してしまったとします。第一志望ではない学校に通うことになったとき、「これでよかったのだろうか」と不安になるかもしれません。でも、その学校で出会った友達や先生、何気ない会話や小さな成功体験が、のちの自分にとって大きな意味を持つことだってあります。最短ルートを進んでいたら気づかなかった「自分だけの花」が、そこに咲いているのです。
回り道をすることで、私たちは視野を広げることができます。思い通りにいかない経験は、ときに人を苦しめますが、その経験があるからこそ、人の痛みがわかるようになります。誰かが悩んでいるときに、寄りそえるやさしさも、回り道の中で育まれるのです。
また、遠回りの途中では「思いがけない自分」と出会えることもあります。たとえば、ある夢をあきらめたことで、別のことに挑戦する勇気が出た人もいます。最初は選ぶつもりのなかった道でも、歩いてみたらそれが自分にぴったりだった、ということもあります。そんな出会いも、まっすぐな道ばかり見ていたら、気づけなかったかもしれません。
『ハイキュー!!』のキャラクターたちも、いつも順調だったわけではありません。試合で負けたり、自分の力不足に悩んだり、壁にぶつかったりする中で、それぞれが少しずつ成長していきます。とくに冴子さんは、選手としてプレーする立場ではなく、応援する側の人間ですが、彼女自身もまた、人生の中で多くの「回り道」を経験してきたのでしょう。だからこそ、あの言葉には重みがあるのだと思います。
もちろん、最短ルートで目標を達成できることはすばらしいことです。でも、そうでなくても大丈夫。回り道をしているように見えても、その途中で出会うもの、感じること、考えることの一つひとつが、あなたを豊かにしてくれます。無駄に思える時間が、あとから大きな意味を持ってくることもあります。
そして何より、「今は回り道かもしれない」と思ったその時こそ、自分にしか見えない景色、自分だけが見つけられる「花」に出会えるチャンスです。
もし今、なかなかうまくいかないことがあったり、「こんなはずじゃなかった」と思うことがあったりしても、それはあなたの中に新しい力が育つタイミングかもしれません。焦らなくてもいい。遠回りしてもいい。迷っても、立ち止まってもいい。
そしてときには、目の前の景色に目を向けてみてください。そこには、最短距離では決して出会えなかった、あなたにしか見えない特別な花が咲いているかもしれません。

